ジーンズ

心打つジーンズ6

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  1. MIZRA

MIZRA

京都発デザイナーズ和柄ブランドmizra

20代のころからレプリカジーンズにはまり、様々な国産デニムをコレクションしてきましたが、中でもmizraは3本の指に入る奇抜さとこだわりを持ったブランドだと記憶しています。

ブランド自体は2009年ごろに終了しましたが、個人的には和柄デニムの最高到達点のひとつではないかと思います。

随所に着物地、剣道生地、パッチは木を織り込んだ華織を使うなど、テキスタイルにこだわりをみせつつ、デニムの生地自体の質感や加工具合、パターンを駆使したアーモンドカットなど、プロから見ても脱帽の作りこみです。

最も感動したのは、これほど様々なディテールを駆使していても、損なわれない品の良さ。

今まで無骨でシンプルなジーンズを好んで履いていた自分にとって、和柄デニムというのはどこかごちゃごちゃして合わせにくい、やんちゃな人が履いてそう、下品だと思ってました(個人的偏見)

mizraはどちらかといえば、デニムそのものに敬意を払いつつ、考えうる最高の素材や技術を凝縮させつつ、最終的にジーンズとしてのバランスを保つという、狂気的なブランドではないでしょうか。

例えばバックポケットの切り替えしや随所に切りっぱなしの剣道着を挟むところなど、手間をかけることを惜しまないところに、ものづくりの凄みを感じます。

当時1本3~4万円という、他のレプリカジーンズの倍ほどの値段でしたが、ジーンズの作り手になってから分かりましたがこれは10万円でも安いくらいのものだなと思います。

シンプルな洋服は縫製技術や品質の良し悪しが見られやすい一方、奇抜なデザインやパターンは見た目に注目が行き、細かい品質や技術、こだわりなどはおざなりになってしまうことがあります。

デザインがすごいものは中身にちょっと手を抜いていてもわからんでしょうという部分と、デザインコストを優先させて品質にコストを避けなかったりなど、経営的に両立することは難しいのが服作りです。

デザイン、パターン、縫製全てにおいて妥協なく突き詰める商品は、有無を言わさぬ説得力があります。

mizra自体が10年ももたず終わってしまったのは、こだわりが強すぎるゆえに採算がとれなかったのだろうなと、勝手ながら残念に思ってしまいました。

間違いなく自身のものづくりにおいて影響を受けた1本となります。

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