アカバナとフクギで染めた革の経年変化
前回革をハイビスカスの花びらで染める実験を行いました。
ハイビスカスの花びらの赤さはアントシアニンから。
アントシアニンは染まりは良いですが、日光堅牢度が低く、日に当てると数日で色抜けするというデメリットがあります。
ただ、革に染めた場合は布に比べて色持ちがよく、日光堅牢度も上がります。
今回革にハイビスカスの花びらと、実験でフクギも染めてみたものを実際に1年ほど使用した結果を書いてみます。
経年変化の様子
以前作成したキーケースを例にとってみます。(画像一番上)
この段階では、他の製品に比べ一番薄い色ですが、これは革の素材の違いなので関係ありません。
ピンク色が薄まり、ツヤが出て、少しベージュに近い色になってきました。これは元のハイビスカスの赤みが消えて、ヌメ革が日焼けして茶色が出てきたためだと思われます。
今後使っていくと、茶系が強くなり、徐々に赤さは消えていくと思います。
これも味としてみるのか、赤みが消えるのがもったいないと感じるのか、いかがでしょうか。
次はフクギを染めてみました。フクギはなかなか革に染料が浸透せず、最終的に顔料のように表面に乗るだけになってしまいました。
表面に付着しているだけなので、こすったり刻印を打つとはがれてしまいます。
ただ、経年変化は深い黄色になり、とても味のある仕上がりとなりました。
おそらくフクギに含まれるタンニン成分が、革の変化をより顕著にしたものだと思います。
このままでは顔料がはがれてしまう危険性があるため、商品化をするにはもう少し研究が必要です。
結論
ハイビスカス染めは染め上がりは綺麗だけど経年変化では色が落ちる。
フクギは染め上がりはムラがあるが、経年変化は深く味が出る。
という結果となりました。
同じ植物染料ですが、結果がまったく変わりました。
フクギの染料がなかなか革に浸透しないというのは誤算でした。
その結果、濃度を上げていくうちに顔料のような染まり具合になってしまいました。
ハイビスカスは逆に複数色染めると、色抜けしたときに変化が楽しめるのではないかと思います。例えば藍の上にハイビスカスの赤を乗せて、紫→青→茶系と経年変化できれば面白い革ができそうです。
今後も革の植物染料の実験は続けていこうと思います。