ハンドメイドイベントで売れる商品を出すには
自分で手作りした商品、企画した商品をハンドメイドイベントや展示会で販売する人が増えています。特にコロナ以降は自宅での過ごし方を考え直す機会も増え、副業推進も追い風となり、今やイベントに出店したくても抽選漏れで出れない、といったことも聞かれます。
今回は自ら作った商品、デザインしたものなど、個人や少数規模で販売するうえでの傾向と対策をお話します。
今まで私が経験してきた様々なハンドメイドイベントの情報を整理してシェアしようと思います。
あくまでも個人の経験をもとに考察しているので、すべての人に当てはまるわけではないので参考程度に読んで下さい。
何を売るか、よりどこで売るか、が大事
ものづくりをするうえで、一番最初に考えることは「何を作りたいか」です。
小物、ファッション、文具、ステッカー、キーホルダーetc。
そして作ったものは次に売ることを考えるようになります。
ここで重要なのが、「どこで売るか」です。
ハンドメイドイベントは数多くありますが、以下の4つに分類してみました。
- 全国巡業型
- ローカル開催型(地域商工会、観光系主催)
- 地方コミュニティ主催型
- 都市部超大規模型
全国巡業型イベント
アート&てづくりバザール、ハンドメイドマルシェ、手仕事マーケットなど。
全国で定期的に開催され、1回の開催につき数百人~千人規模の作家が出店する大規模イベント。
入場者にもお金を取るため、購買意欲の高い客層が多い。
全国どの地域にも出店申し込みすることは可能だが、都市部開催は競争率が高め。
ローカル開催型イベント(地域商工会、観光系主催)
地域の自治体、県、商工会などが主催するイベント。
年1回開催が多く、場所も毎回地域の同じ場所で行われる。
県内作家やその近隣市町村の作家を優先的に募集することが多く、地域色が出やすい。
出展料はどれほどの補助金や予算がつけれれるかにより大きく分かれるため、リスクが高くなる場合も。
地方コミュニティ主催型
地域の民間業者やコミュニティによる地方を盛り上げるためのイベント。
その地域に人を呼びこむ、活気づけることを目的とするため、地域の結束力やイベントにかける想いも強い。
なかなか地域外から出店することは難しいが、出展者と仲良くなり紹介で入る方法もある。
都市部超大規模型イベント
東京ハンドメイドジャパンフェス、デザインフェスタなど。
出店ブース数は数千規模、来場者も数万人と他イベントとは桁が違うので、宣伝効果は最も高いが、出展料などコストを考えると関東に住んでいる人以外は積極的に参加することは避けたほうが良いと思われる。
それぞれの客層と売り方
全国巡業型
全国巡業型は基本的にその地域に住んでいる人が来ることが多いです。入場料を取られるので何も買わず冷やかしで来る方は少なく、しっかりと購買意欲を持ち合わせているのが印象的でした。
肌感としては、作家と密にコミュニケーションを行うというよりは、会場を流し見して、見た目にかわいいと思ったものを買っていくといった感じです。
会場自体も広く、作家数も多いため、ひとつずつじっくり見る時間はなさそうです。会場も繁華街中心部より少し離れた場所にあるため、移動に忙しそうなお客さんもちらほらいました。
・目立ってなんぼ
・できるだけコストを抑える
集客力はイベント自体の知名度に任せればそれほど苦労することはありませんが、競業作家が多いため、いかに自分のところにお金を落としてもらうかが肝になります。
例えば他の作家と同ジャンルでかぶってしまった場合は、どこかで差別化をしないと売り上げがまったくたたないこともあり得ます。
最も簡単な方法は競合より値段を安くすることですが、作品の原価や人件費も考えないと結果マイナスになることもあり、注意が必要です。
たまに儲け度外視の作家さん(趣味でやってる、卸売り?と思うほど安い)もいるので、価格で競う場合はこのイベント用に安いコストで作れるものを考えておく、クオリティを少し落としてみるなど対策が必要です。
理想はオリジナルデザインのキャラクター、機能性よりかわいさ重視、多品種勝負など遠くから見て楽しそう、デザインが統一されて目立つ作品がおすすめです。
説明をしなくてもビジュアルで分かる工夫が必要です。
例:標識ミニチュアキーホルダー、アニマルチャームのレザー商品、面白ステッカーなど
フックとして数百円の商品などがあれば立ち止まってもらえる確率があがります。
ローカル開催型
このイベントの難しい所は、集客力が読めないことです。
その地方の自治体、団体がどれほどイベントに力をかけているかでまったく発信力が変わってきます。
参加するにあたってハードル自体は高くありませんが、開催近隣都市部に住んでいないといけない、販売する商品に制限がある場合があります。
また、大々的に応募をしていない時はいつの間にか募集が終わっていることもあるので注意が必要です。出展料は比較的高いため、個人で販売をする人や、趣味で販売する人は黒字化が難しいイベントです。
・比較的なんでも売れる
・地方色を出す、おみやげっぽいものもOK
販売するものはなんでも売れる印象です。なぜなら地方は都市型に比べ出店者数が少な目で観光客なども訪れるため、競合作品がなければ独占的に売り上げを取ることも可能です。
もし参加することができるのなら、過去の出店者を調べ、競合のいないジャンルの作品を販売することがおすすめです。比較的同じ出展者が毎回出しているのも特徴です。
大型イベントに比べブースが広く使えることも多く、ゆったりとした接客ができるため思い切って実験的な商品を置いてみるのも面白いかもしれません。
地方コミュニティ主催型
出店者同士の交流、お客様との交流が最も多く深くなります。ものを売るためというより交流するため、知ってもらうためにも出た方が良いイベントです。
出店規約も融通がききやすく、販売手法もこだわりの強い世界観など表現しやすいので、個性的な作風の人ほど人気になる可能性が高いです。
少し変わったもの、人と被らないもの、こだわりの強いものが好きといった人が多く訪れ、コミュニケーションも活発に行われます。
・こだわりの強いもの、尖ったものであればあるほど良い
・実験的な作品もあり
逆にありきたりなもの、どこにでもありそうなものを売れにくく、工夫が必要です。
経験上、全国巡業型とまったく売れるものが変わってくるので、作品の作り分けが求められました。
他作家さんもこだわりが強い人が多く、かぶってしまう可能性が低く、値段も強気に設定しても良さそうです。
都市部大規模型
イベント会場近くに住んでいる場合は参加しても良いですが、遠方の場合はよっぽど勝ち筋が見つかっていないと参加しない方が良いです。
出展料も他イベントに比べて高いですが、基本的に会場にぎゅうぎゅう詰めになるため、商品自体のパワーがないと売れにくく、一番頭を使うイベントです。
お客様が流れていく中で、目を引くためにどのような作品をどれだけ置くのか、作品自体は現地に持っていきやすいものか、お客様が持ち帰りしやすいものか、什器等送る場合の送料、交通費は値段に反映しているか、どのように宣伝するか。
もちろんこれらは他のイベントでも大切な部分ですが、よりシビアに考えないと黒字化は難しいです。
何度か出店して感覚をつかむという方法もありますが、そこまでして得られるメリットは何か、考えなければいけません。
・事前に固定のファンを作っておく
・ぱっと見でかわいいもの、買いやすいものを出す
・コストを抑えた商品を考える
例えば地方でしか手に入らない素材や地方色を出した作品などは優位に見られますが、今やネットでなんでも買え、さらに東京などはなんでもそろうため優位性は薄くなっています。
むしろ自分のブランド、作品のファンを増やし、ファンに会いに行くために都市部のイベントに出店するという形が理想です。
つまり大規模イベントで成功するには普段から宣伝、広報活動をして自身の作品を広めておく必要があるので、個人で初心者は避けた方が無難なイベントとなります。
まとめ
様々なイベントに参加してみてわかったことは、イベントによって来られる客層がまったく違うということです。
作品自体のクオリティをもっと上げたり、色々な商品を開発することも大切ですが、一番は「この作品は誰が好きそうだろうか」そして「その人はどんなイベントに来るんだろう」と想像することです。
1万人が来るイベントでもまったく売れない時もあれば、数百人しか来なくても完売することもあります。
作品が万人受けするものなら良いですが、大抵「刺さる人には刺さる」ものです。
なので最も大切なことは、自分のファンになってくれそうな人が集まってきやすい場に出ることと言えます。
その場は必ずしもイベント会場だけではないということです。