赤に染まる染料は数あれど
草木染めの実験を行っている中で、赤というのは様々な植物から染められます。
有名なのは茜や紅花、ノニの根っこなどがありますが、近所になく気軽に手に入るものではないので染料探しに苦労します。
最も簡単に染められる染料のひとつが鉱物です。
岡山県高梁市にベンガラと呼ばれる酸化鉄の土を使った染めの産地があります。
家の瓦や壁など赤く染まったまさにベンガラ尽くし。
ベンガラは草木染めと違い鉱物染めですが、自然染料のひとつなので、そのまま土に還すことができます。
今回はここでベンガラ染料の元を購入し、染めの実験をしてみました。
簡単でエコな染料
ベンガラ染めは、ベンガラを水に溶かせば染液が完成します。
草木染の工程にある媒染や煮込む作業が必要ないのがエコな所です。
ベンガラの染料はネットなどでも手に入りやすいですが、メーカーにより入っている成分が違います。
ベンガラの粉のみ
ベンガラの粉+合成ゴムラテックス
弁柄の粉+塩化アンモニウム
などがあります。
合成ゴムや塩化アンモニウムは生地に定着する役割を持っているので、一緒に使うことで色落ち、色移りが軽減されます。
各メーカーにより微妙に染め方が異なるのは入っている成分が違うからです。
さて、実際に染めた様子はこちら
布に対する浸透力が強いのでもっと絞りをきつくする必要があるのかもしれません。
ただ、綿の素材に対しても濃染処理なくここまで濃く染まるのは、普段草木染めをしている感覚からすると驚き。
今回ベンガラ粉をそのまま水に溶かして染めたので、永遠に色落ちする事態になっています。本来であれば定着剤として塩化アンモニウムなどを生地に漬けておく必要がありました。
これらのことからベンガラは水だけで染まると言われていますが、その実定着剤がなければ色落ちが激しいことが分かります。
反省点
ベンガラ染めがこれほど強力に染まるとは思っていなかったので、目分量で染液を作りましたが、実際は少量づつベンガラを追加した方が良かったと思います。
布が浸るか浸らないくらいの水の量で揉みこむくらいに染めるのがよさそうです。
写真の染液の具合だと、後3~4枚はTシャツが染められたと思います。
ただこの手軽さと染まり具合は他の草木染めと組み合わせると面白いことができそうです。