ハイビスカス

ハイビスカスで和紙を作る

ハイビスカスの繊維から和紙作りに挑戦

植物繊維を使った和紙作りは紀元前より日本に限らず世界中で行われてきたので、ノウハウは多く残っています。

今回は日本の和紙作りの工程を参考に、原料を楮や三椏ではなく、ハイビスカスの繊維で代用してみました。

原料の比較

楮の繊維とハイビスカスの繊維を比べると、硬く、荒い印象です。

和紙を作るためには以下の手順を踏みます。

・木の皮を蒸す

・皮をむく

・皮をそぐ。不純物を取り除く

繊維をアルカリ溶液で煮る

・洗い、天日干し

叩く、ほぐす

・ネリを入れ、漉く

他の和紙原料に比べ、繊維を煮る作業と叩く作業を多めに行います。

実験開始

腐らせた繊維を使うことで、皮を蒸すところから、皮をそぐ工程を短縮することができます。

和紙や糸づくりに必要なのは植物繊維のセルロースの部分のみになるので、できるだけそれ以外の不純物を落とすことが重要になってきます。

腐らせることによって、微生物にリグニンなどの不純物を分解してもらうことになります。

ぼろぼろと繊維が崩れていくので、皮をはいで水洗いし、アルカリ液で煮込みます。

表面の茶色い皮は使わず、内側の繊維質のみ使います。

ハイビスカスの枝を腐らせすぎると繊維がぼろぼろになるので、1か月おきに様子を見るようにします。

アルカリで煮込むことで純粋なセルロース繊維が残り、柔らかくなっていきます。

和紙が長期間保存がきく理由の一つが、紙がアルカリ成分になるので酸化を防ぐといった効果があります。

ただし、煮込みすぎると繊維が傷み、きしきしする硬い繊維になってしまうので、状態を見ながら調整します。

煮込んだ繊維は少し緑がかった色をしています。ねっとりとした感触があります。

これを洗い、天日干しして漂白します。

天日干しはしてもしなくてもあまり色は変わりませんでした。

その後繊維を綿棒で叩いでほぐしていきます。

繊維が細く、徐々に柔らかくなってきます。ただし縦に繊維はほぐれても横にはなかなかほぐれません。

繊維をハサミで切り、叩く作業を繰り返すと段々粘り気が出て、繊維のとげとげしさがなくなってきます。この工程が普通の和紙に比べて多くする必要があります。

最終的に、水に溶かすとふわふわとした手触りになれば完成です。

枝を腐らせて繊維を取る方法と、枝を蒸して繊維をはぎとる方法がありますが、

出来上がる和紙にも違いが生まれます。

腐らせることでより純粋なセルロースが採取されますが、硬さが出てきます

蒸して繊維をはぎ取る方が、リグニンなど不純物は多少残りますが、繊維自体は痛まず柔らかい和紙が出来上がります

さらに煮込む過程においても、消石灰を使うよりも灰汁を使うほうが繊維が傷まずに済みます。

漉いてみる

紙漉きキットを使って紙漉きの練習をしてから、ハイビスカスの繊維で漉いてみます。

通常紙漉きにはネリと呼ばれるとろみを水に加え、繊維が均一に水中に漂う手助けをします。

トロロアオイを使う場合が多いようですが、ハイビスカスの葉に含まれる植物性ヒアルロン酸でも代用可能です。

ハイビスカスの葉を水に漬けておくと、ねばねばとした成分が出てきます。

この時、少し水温を低くすると粘りが長持ちします。

とろみのある水に繊維を溶け込ませて漉きます。

楮で漉いたときに比べて繊維が少し硬いです。ただし煮込み時間を伸ばしても、叩きをこれ以上行ってもあまり変わりがなかったので、ある程度で人力の限界がありそうです。

繊維が崩れやすいので注意が必要です。急いでいる時はアイロン、乾燥機を使いますが、

天日干しをするほうが強度は高い気がします。

和紙として形にできました。乾燥すると少し色が薄くなり、ベージュに近い色が出てきました。

強度的には楮の和紙より少し引っ張りに弱い感じです。

少し楮も混ぜ込んで和紙にするか、こんにゃく糊を縫って強度を上げたほうがよさそうです。

次回はハイビスカスの和紙を作った作品作りを行います。

ハイビスカスの枝から繊維を取り出すハイビスカスの枝から繊維(セルロース)を取り出し、新商品づくりの素材として考えていきます。...
ハイビスカスで和紙を作る-小物づくりハイビスカスの和紙は一見加工が難しそうですが、工夫をすれば様々なものを作ることができます。...
RELATED POST