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なぜ植物染料で染めるのか
繊維を染める方法として、天然の植物、鉱物、果実、虫など天然染料で染める方法と、人工的に作られた合成染料があります。
合成染料の方が安価であり堅牢度も高く、品質も安定しています。
世界中の工業製品でも大多数を合成染料で占めています。
ただ、近年天然染料が注目され、アパレル業界などにも広がってきています。
天然染料が注目される理由は、合成染料の環境負荷と潜在的な人体への危険性があります。
個人で実験をする程度では環境負荷の違いはそれほど大きくないかもしれませんが、
天然で作った繊維を天然染料で作り、手織りをしてモノづくりをしたいと、
できるだけ化学薬品や化学染料を使いたくないという自分のこだわりから、天然染料を主に使うことにします。
ハイビスカスの繊維と他の植物繊維との違い
植物繊維の代表は綿が有名ですが、綿は種子毛繊維であり、どちらかと言えば麻や芭蕉、苧麻によく似た繊維質になります。
種子を守る毛を集めた繊維を種子毛繊維、麻のように枝の表皮をはがして利用したものは靭皮繊維といいます。
写真左はハイビスカス、右は同じ靭皮繊維の楮の和紙です。楮の方が毛羽立って繊維が細かく、柔らかいです。
同じ製法で作っても、ハイビスカスの繊維の荒々しさが際立ちます。
染色に関しては実際に試してみると、綿に比べて染まりやすく、定着度も高いです。
ハイビスカスの繊維を染める際にはたんぱく質などの濃染処理が必要なく、染液によっては媒染する必要もありませんでした。
不思議なことに、繊維の状態ではよく染まるのに、和紙にすると染まりにくいという現象が起きます。
使った染料は、琉球藍、フクギ、ハイビスカス、落花生、蘇芳など草木染めをベースとした染液を作りました。
今後も様々な植物で染めを実験してみたいと思います。