オーダーメイドでジーンズを作るのが夢のひとつ
元々ジーンズ好きが突き詰めて、自分の理想とするジーンズを1本作るというのが夢でモノづくりの世界に入ったのですが、作っていくうちに、自分のためより誰かのために、という気持ちが強くなってきました。
友人や身内に対して服作りをすることは、感謝の気持ちと、かっこよく履いてもらいたいという願いが込められている分、自分用よりもやる気になります。
今回は母にジーンズを作ってみました。
ついさぼりがちになるパターン
ジーンズはパターン上多少ずれがあっても、履いているうちに伸び縮みして体に馴染むので、それほどシビアに考えなくてもいいと個人的に思っています。
本当に体にフィットするパンツを作ろうと思ったら、デニムの縮率とねじれを計算し、
くせとりなどをするのが理想です。
今回はその辺はスキップして、体にフィットしたパターン作りをしました。
具体的には普通のパンツより尻繰りの距離を長くし、バックヨークの形を変則にして、中に隠しダーツを入れました。
年齢を重ねると尻が大きく垂れてくるので、尻周りはゆったりとした方が動きやすいです。
逆に見た目をスタイリッシュにしたい場合は、あえて肉を持ち上げるようなキュッとしたシルエットで、ポケット位置を上に、さらに小さめに持ってくればすっきりします。
生地は超長綿であるスビンコットンを使いました。インド原産の綿で、
通常のデニムの数倍の値段はしますが、デニムとは思えない光沢と柔らかさが特徴です。
アクセントに紅型を挟み込みました。
裾を折り返すと裏布が見える仕組みです。ただこの裏布は裾から20cmほどまでです。
今回唯一の失敗箇所はファスナーです。
YKKの高級ファスナーのエクセラを使いました。
ひとつひとつ研磨をかけた滑らかさが魅力ですが、動きやすいがために、
ジーンズを履いているとファスナーがひとりでに降りてくるという欠陥につながりました。
やはり適材適所な資材選びが必要なのだととても反省した記憶が残っています。
今回は母が履きやすいように柔らかい生地を使い、工芸品が好きということで紅型を差し入れてみました。
毎回反省点が見つかり、完璧な服作りはいまだにできた試しがありません。
ただこの失敗がまたモノづくりがやめられない理由でもあります。