道具は職人の命と言いますが
自分は道具に特にこだわりはありません。
感覚でしっくりくるものを選んでいます。
トヨタの足踏みミシン、60年ほど前のものをメンテナンスしながら使っています。
トヨタは昔ミシンも作っていました。
ジーンズの生地はトヨタ織機は今でもよく使われてます。
ただ、ジーンズを作る際にはこのミシンだけでは足りません。
巻き縫い、2本針、ベルトループ、カンドメ、ボタンホール、オーバー、帯付け等々ミシンを使い分けます。
ただ、全て揃えなくてもジーンズは作れます。
仕事で丸縫いしていた時は全てのミシンを使っていましたが、
実際に家で縫う時の相棒はこの1台です。
先ほど、ジーンズは縫えないと言いましたが、ジーンズっぽいパンツくらいなら十分このミシンで縫えます。
はさみなどは、実際に使ってみて自分の手に合っている物を使います。
大きい方は庄三郎。小さい方は兵庫の多鹿治夫鋏製作所の銅メッキのハサミ。
小さい糸切りはさみは京都の菊一文字。
左側の長方形の刃物は手のみです。
テニスなどのグリップテープで巻いてます。
仕事をしていた時は手のみで裁断していましたが、今のメインは庄三郎。
刃物類は人によって使いやすい、使いにくいが出るので、人におすすめされたものよりも、
自分の手に馴染むものを選んだ方が間違いはありません。
手のみの裁断師は今ほとんどいないのではないでしょうか。
裁断師のベテランおじいに昔言われた
「生地が切れりゃなんでもええねん。今の刃物は優秀やから、正直カッターでもええねん」
という言葉は衝撃でした。
古い技術をすごいものだと誇張して商品価値を上げようとするメーカーへの皮肉のようです。
ですがやはり曲線の美しさは手のみが一番。
ミシンも道具も使ってなんぼ。毎日使うのが一番のメンテナンス。
だからどんなミシン、どんな道具がいいか迷っている人は、
自分が毎日使いたくなるようなものを選ぶのが一番だと思います。
どのミシンがどの生地に向いているのか、上級者向けなのかなどは
使っていくうちに知識がついてきます。
見た目で選んでもいいし、コンパクトだから、とかでもいいので。
たまに
「初心者なのにこんな上級なもの使って」
とか
「プロなのにそんな家庭ミシン程度で」
という謎マウントを取る人がいますので気にしないでください。